2017年1月27日の金曜ロードショーで「耳をすませば」が放送されました。
これの公開日が1995年7月15日です。今から22年前。
「十年一昔」と言いますが、まさにそれ。20年も前の話だと本当に昔の話なんだなと切に思います。
今の同年代はこれを見て何を思うのでしょうか?
現代アニメのような作りですが、もはや古典の扱いでしょうね。
雫さんの不穏な行動の数々(猫に話しかける、締まってるお店の前に座り込む)はあれど、名作だと思います。
ソフトバンクのCMの通り、少なくとも今の10代は「スマホと大人になっていく初めての人類」です。
時代背景がちょうどパソコン普及前夜みたいなところがあるので、定期的に見て状況を確認するには優れています。
変わるもの、変わらないもの、テクノロジーで置き換わるものそうでないもの。
そういう視点で見ている人は少ないでしょうが、ドラマと違って定期的に再放送するので重宝しています。
変わらないもの
授業の風景、テストの風景などは変わっていないと思います。
どこぞの学校のHPなどを見ると相変わらず「黒板」「机」ですし、小学生はランドセルを背負っています。背負ってる色は色々ですが。
テストも電子化はまだ先でしょう。
シャープペンシルもまだ健在。
その他で言うと、月島家の洗濯機は二層式でした。
今も売っていますが、今はほとんどシェアはありません。
部活の雰囲気も変わらなそうですね。
私の頃も大きく変わっているとは思えません。
掃除機もそんなに変わっている様子はありません。
ロボットの出現もありますが、基本は大きく変わっていないということです。
なかなかここを進化させるとなると、いい案が思いつきません。
電子ジャーも月島家は4人家族の少し大きめなものでしたが、それ位。ここも形を変えても仕方ないですからね。
この辺は20年経過しても基本的な考えは変わっていません。
変わったもの
これはかなりありますね。
「ノートワープロ…」というセリフが出てきますが、この時期はパーソナルコンピューターはまだ普及前夜。
1995年3月の消費動向調査ではパソコンの普及率が15.6%。
Microsoft Windows 95の発売日は日本語版の発売が1995年11月23日。この時期まだ普及していないのでしょう。
そこから一気に伸ばしていて、パソコンの普及は色々な生活を大きく変えたと思っています。
文章を書くということもですが、鉛筆で書くシーンが描かれています。
これがパソコンに入れ替わっていく訳ですね。これ、ドラマとかで順を追って見て行くと面白そう。
図書館のシステムもアナログな図書カードでしたが、バーコード化がどうのこうのという話でした。
今やOSSで図書館システムがありますし、サーバはクラウドでどうのこうのの時代ですが、オンプレミス環境。
ついでに気になったのはお友達の家で野球中継が流れていたこと。
今は寂しいですが、なかなか見えない光景でした。これは復活するでしょうかね。
かなり大きな変化
コミュニケーションツールの変化は劇的な変化であると言わざるを得ません。
家の電話で友達からの電話を受けるシーンがありましたが、今はほぼあり得ない光景でしょう。
また、雫さんが姉から手紙をポストに出しておいてというところで「彼氏?」というのも今は最初に出てくる言葉ではないでしょう。
今や携帯電話のメールすら廃れてしまい、キャリアのドメインのメールを使っている人がどんどん減っていると思います。
ビジネスユースは当然今も利用はありますが、個人ユースだと20年で一気に盛り上がり、一気に下火になってしまいました。
この当時爆発的に普及を伸ばしていたのはアニメ内には出てきませんがポケベルです。
グラフ出典: NTTドコモ「ベル友ブームを巻き起こしたポケットベル(現クイックキャスト)の歴史」
1996年にピークを向かえ、そこから携帯電話にとって変わられました。
携帯電話も2008年には90%を超え、そこから伸びる事はほぼありません。
そこで2007年6月29日にアメリカでiPhoneが発売されました。
日本で売り出されたのはiPhone 3Gからで2008年。スマートフォンはそれ以前にない訳ではありませんが、ここからでしょう。
その後はスマートフォンを使ったSNSが普及し、
- facebook 2008年
- インスタグラム初版 2010年10月6日
- Line初版 2011年6月23日
とどんどん出ています。
2008年のベネッセの調査では、コミュニケーション手段の選択(リンク)で「◆携帯電話の所有とともに「メールを送る」が増える」というタイトルでした。
2014年の調査では「メール、LINE、Facebook、Twitter、どれを使ってる?」(リンク)で「LINEは中1で5割超、高校生では約9割が利用。Twitterも高校生では5割を超える。」というのがタイトルになっています。
これだけでも僅か6年での大きな変化が見て取れます。
もし、このツールを使って新たな「耳をすませば 2017」を作れるなら、どういう変化になるのか?を考えるのが古典アニメを見る楽しさでもあります。
まぁそもそも図書カードが名前を書く形式な訳ありませんから、天沢聖司君の作戦は通用しません。
月島氏の洞察力でホシを割り出しましたが、次はこの作戦は使えません。しかしこの作戦も洞察力に信頼していないとなかなか難しいでしょうね。
今なら月島氏の性格だとインスタはやってそうですね。
そういう綺麗な写真みたいなものは撮りそうですし。
天沢氏の作戦だとインスタのコメントとかが有効かな。
同じような場所から写真を撮っていれば、図書カードから割り出した月島氏の洞察力なら何れ届くでしょう。
まぁどちらにしても最後のシーンはないでしょうね。
イタリアだろうがなんだろうが、インターネットは国境を越えます。
従って「明日帰るよ」と伝えるのも容易いですし、朝に家の前で念じるという極めて色々な意味で危険な行動は取る必要はありません。
ドラマチックではなくなりますが、そもそも偶然に賭けるにはあまりも…というものです。
これから10年後を考えた時
もしこの「耳をすませば」が現代版になったら、ストーリーも大きく変わると思いますが、人の心なんて変わりませんし、授業風景も変わりそうにありません。
ここを変えると今度は劇的な変化に感じるでしょうが、公立高校の教科書が電子書籍になる日が来るか?というのも…。
あの家でも変化がありそうなのは食器洗い機位しか買うものはなさそうですし、多少テレビが薄くなろうが大きな変化ではありません。
もしかしたら最初の変化はパソコンがなくなるかもしれませんね。
インターフェースがキーボードですが、これが変化して声だったりそういうものに変化するかもしれません。
コミュニケーションツールはどこかが10年後には潰れているかもしれませんが、テキスト、画像、動画もカバーしているため、VRとか飛び出す絵本じゃないですが3Dホログラムでの対面に近いコミュニケーションになる?位かなぁ。
でもそれだとテレビ電話と変わらないか。
今から10年後だとまさしく生まれた時からスマホに触れている世代が成人となる位の時代です。
その人たちがこのアニメを見て、何を思うのかも聞いてみたいですが、もう1回位コミュニケーションの部分で大きな波はあると思っています。
想像しながら、その波に簡単に乗り遅れないように、そこそこついていけるようになりたいですね。